2009年08月15日

デジ卓ねぇ〜

DUBやらなくてもやっぱりライブ現場には向かないなぁと改めて思った@日比谷野音。一応無事終了。

何が面倒かって「操作したいチャンネルをセレクトしなければフェーダー操作しかできない(M7CLの場合)」事が最大の問題だと思うわけです。今回のようにマイクのinputが少ない場合でもチャンネルのダイナミクスを変えたら他のチャンネルのハウリングポイントを引っ張ったからすぐに変更したいとか。同時じゃないんだが瞬時に幾つかの事をやりたい時には本当に面倒。レコーディングでもライブでもミキシングってのは一ついじれば全体に影響が出る場合が多いもの。ライブの場合はそれがハウリングであるとか音がクリアにならないとかお客様の耳に直接届いてしまうわけで。レコーディングは何度も繰り返して細かく詰めていけるが、ライブでは後戻りは絶対に出来ないからね、いつでも瞬間的にいろんな事に対応できなければならない。
そんな時にデジ卓の「何かやろうと思った時のワンアクション、ツーアクション」てのは致命的だなと本当に思う。瞬間的に浮かんだ発想を瞬時に出来ないからフラストレーション溜まるしそれが続くと結果的に萎えてしまう。その致命的な問題をオペレーターに補って貰うのは本末転倒なんじゃないの?と。もっと言えばミキシングも慎重になりすぎるというか表面張力で溢れんばかりの状態でのミックスは怖くて出来なくなる。(それはある側面ではいいのかもしれないが俺は駄目だなぁ。牙を抜かれたオオカミみたいになっちゃう。オオカミじゃなくてブタか。。。。いや、ブタには牙はないからな。イノシシくらいにしておくか。)

勿論デジ卓にはトータルリコールできる便利さはある。あるんだが、リハーサルが十分出来る状況なら覚えてくれるのは助かる部分もある。だから覚えて欲しいところと覚えなくてもいい所をもっと吟味して操作性を良くして欲しいわけです。パッと手を伸ばしさえすれば瞬時に操作できる事の方がライブコンソールには大切だと多くのエンジニアは思っている。思っているのだが、サイズがコンパクトになり基本的なアウトボードがインクルードされているデジタル卓の利便性を優先する傾向が広まってしまうのも判らなくはない。とは言え、エンジニアからの反発も実はかなり多くて、リハが十分に出来ないようなフェス関係ではアナログ卓に逆戻りの現場が増えているのも事実だ。
今回M7CLの使用を提示された時に、「バンド物じゃないからこれを機に一度ちゃんと使ってみよう」と思ったんだが、やっぱり苦手だなと再認識。フェーダーでステレオ組んだ時の(見た目に)子供のフェーダーが追従してこない(ヌルッと遅れて付いてくる。勿論信号は遅れないのだが)のも非常に気持ち悪い。01、02R、03Dの頃から受け継がれている「使ってるうちに左右のフェーダーが何ミリか微妙にずれてる」仕様も気持ち悪い。(笑)これだけヤマハのデジ卓に慣れ親しんでいるのに嫌だなぁと思わせるのは凄いというか「いい加減にせーよ!」と半ば諦め気味でもある。

例えばですけどね、各チャンネルにEQとAUX4個は残しておいてあとはデジタルのいいところ(チャンネルのダイナミクス関係や追加のAUXとかBUSとかの送り関係)は今の方式を活かすとかね。もう少しだけアナログの操作性の良さを引き戻して欲しいなと思うわけです。あとはあれか、ココまでコンパクトにするなら液晶を取り外しできるか倒して収納できるようにするとか。コンパクトに割り切っておきながらこのモニターが固定なのは無駄だなぁと。そのお陰でハードケースが無駄にでかくなるのはコンパクトさを売りにしている商品に水を差している気が、、、、。(笑)

m7.jpg


とは言え苦手なデジ卓も実際に現場で使う事で発見できる事も多くて色々勉強になりました。勉強になったけれど現時点でライブDUBをデジ卓でやるのは不可能な事も確信しました。(笑)

アウトの方はバーテック2/4対向。38マイクメインで集音を試みつつ色々秘密兵器も出動させたんだが、結局夏の野音は蝉の声がうるさくてまるで使い物にならず。ほら、野音ってステージの後ろ側がドームになってるからそれが集音パラソルのようになってマイクにガンガン蝉の声が集まってくるわけですよ。で、ダイナマイト三度目の野音も最終的にはヘッドセットを付けないと蝉に太刀打ちできなかったと。(泣)

あとは23組もの芸人さんが出演されていたので、出囃子やらネタの音楽やらが当日になってから変更になったり追加されるものも多くて相当てんぱりました。(一カ所だけヘマした)どんなネタやるのかも判らない状況で出しどころは指示があっても下げどころの指定が曖昧なままってのが幾つかあったり「打ち合わせの時にそんな段取りでしたっけ?!」みたいな。お芝居に比べりゃ手数はそれほどでもないんだが、それでも音のタイミング一つで場の雰囲気やネタがぶちこわしになるシビアさは同じなわけで。
どんな無理難題もクリアしてやろうじゃないかという意気込みになれるのは間違いなく芝居に関わってきたお陰ですね。芝居の世界で学んだ事に本日も感謝。

それからいつもサウンドシステムをサポートしてくれているアコースティックチームにも大感謝!

制作事務所も絡めずに手打ち公演をやった東京ダイナマイトもお疲れ様でした!
posted by DMX at 23:59| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする