流石にあちこちで人に会う度に「Blog更新しないんですか?」とか言われる事が多くなってきて少々焦り気味。いや焦る必要もないんだけど。(笑)
なんでかっつーと去年の夏くらいからいとう(せいこう)君に誘われてTwitterやってるんですわ。使い出したら便利だし音楽関係の仲間が多いし外野のノイズも少ないしで居心地宜しい。当然、blogの方はおろそかになると。(汗)その時その時に思った事感じた事をペロッと呟いてる方が気が楽ですね。
で、Twitterを見ている人は知ってると思いますが、2月くらいにターンテーブルを改造しまして。結構これの詳細を知りたい人が居るみたいなんだけどこう言うのは流石にTwitterで書くのは厳しい。って事で、久しぶりのBlog更新してみます。
初めて買ったターンテーブルは俺らの世代には定番のテクニクスのSL-1200。二十歳くらいの時だからもう30年近く前の話。最初は銀色のMarkIIでその後90年頃にMarkIIIに買い換え。(友人に譲った銀色の奴は鹿児島で未だ現役との事。丈夫だなぁ。)かれこれ20年くらい使ってますが一度の故障もなく今も現役で使っています。ピッチコントローラーにセンタークリックのある前期タイプの物だったので、当時上馬にあったPACOにてセンタークリックを改造して取り去りロックスイッチを付けて貰いました。(それから随分経ってMarkIIIDにQuartzLockボタンが採用されたんですね。)たしかコレって一番最初は木村コウ君のアイディアです。センタークリックがあるとその近辺の微妙なピッチ合わせがし辛いと言う理由ですね。で、それ以降ずっとメインのターンテーブルはSL-1200です。ところが、10年くらい前?かな。VESTAXがストレートアームのターンテーブルを出しまして、このアームがもの凄く気に入ってしまった。さっそくモニターで使わせて貰ったんだけど、SL-1200に馴染んでしまった手の感触や所作はなかなかVESTAXのターンテーブルに馴染めなくてね。プラッターのサイドの形状であったり回転のトルク感であったり。ボタンを押すタッチだったり。これはもう長年身体に染み込んでしまった俺の対応力の問題だから仕方がないです。
DJって端から見るとスクラッチのイメージが強いせいか、もの凄くアラっぽくやっているような印象があると思うんだけど実はもの凄く繊細なタッチが必要だったりするんだね。だけどそのストレートアームはVESTAXが編み出した理論のお陰で少々荒っぽいことをしても針飛びしない。スクラッチが下手くそな俺でも針跳びしにくいのね。自分はオールラウンドなプレイスタイルだからコスリで針飛びしにくいアームは喉から手が出るほど欲しい。けれども、SL-1200の使い慣れた操作感も欲しい。
だからこの二つを合体できないだろうか?と考えていたわけです。当然過去に色々なところに改造を掛け合ってはみたもののそのような酔狂な事をしてくれるところはどこにも無くてね。皆さんアイディアは面白がってはくれたんですが。
そんな感じで周期的に改造を思い立っては掛け合い断られては諦めてしょんぼりするの繰り返し。ところがここ数年、自分にとってDJと言う行為がとても重要だったと再認識しましてね。やっぱり自分の音楽制作の発想の源はDJだと。そうなるとVESTAXのアームとSL-1200を合体させたいという積年の想いが押さえられなくなりまして遂に自分で改造してみたわけです。
まずは肝のストレートアームの入手です。VESTAXの倉庫から二本のアームを掘り出して貰いました。ストレートアームにも数種類あるのですが、その中でも頭にちょんまげがついたみたいなダイナミックバランス型のをゲット。数種類あるVESTAXのストレートアームの中でも一番付けたかったモデル。
次は、SL-1200を分解。分解しなければどのような機構で組み上がっているのか?どのようにアダプターを作れば新しいアームが装着可能になるか判らないから。新しいアームを取り付けたときの各部のクリアランスは確保できるだろうか?ちゃんと機能するかどうかもわからない状態でバラしていくのは楽しいけれどドキドキ。機械ってバラから組み立てたモノだからバラスのも組み立てるのも理屈では可能なんだけど、理屈と現実は上手く噛み合わないのが常。その昔のMACなんかメモリー増設で蓋外しただけでもう元に戻らないとかね。良くありましたから。(笑)どう組み立ててあるのか?を推理しながらバラしていきます。
(((改造は自己責任でね!!真似して壊しても当方は一切関知しません!!)))
まずはインシュレーターを外します。(このインシュレーターの裏にもねじが潜んでます。)そして裏面に見えるねじを全て外します。ターンテーブルカバーの受け部分のねじも外します。ゴム素材のケースを外すのには多少のこつが必要ですが、カバー受け部分のパーツを外した付近からスクレーパー等を刺して注意深くコジっていけば外れます。
ケースを外すと中にまた黒いカバーが付いているので、それを止めているねじを全て外します。(最初はこのカバーを外さずにアーム部だけバラしたのですが、このカバーを外さないとアームの台座部分を外す事ができません。楽しちゃいけないってことですね)この黒いカバーを外すとアームをばらすことなく台座ごとはずすことが出来ます。(二台目は勿論そうしました!)この黒いカバーが結構重たいです。恐らく最初に外した外側のケースと振動係数の違う材質にすることで振動やハウリングを押さえているのでしょう。筐体内の隙間を埋めて共振を防ぐ事にも一役買っているように思います。大量生産ベースで作る事を前提にしながらもパフォーマンスも達成する工夫なのでしょうね。(あくまでも想像)
ココまでバレたら長考です。どうやってアダプターを作ろうとか、クリアランスはどうか?とか。採寸して考えて、まずは近所のホームセンターで材を購入。簡単な木工作で仮のアダプターを制作し取り付けて各部の合わせをしてみます。
取り敢えずはこの様な台座を作れば装着は可能になりそう。でも、この部分の材質に何が適しているかがわからん。ネット上のオーディオマニアのご意見としては真鍮が良いと言う意見が多いんだけど素人に金属加工は困難。真鍮というのですからきっと固い物の方がいいに違いありません。(あくまでも素人考え)すぐさま高校時代の友人でウッドターニングのプロフェッショナルに電話。これこれこういうものに使いたいのだが、、、と話をすると、「ホームセンター等で手に入る針葉樹の集成材では柔らかいので駄目だろう。うちに赤樫の木のちょうどいいのがあるから簡単な加工までやって送ってやるよ!」とありがたいお言葉。確かにホームセンターで買ってきた材は針葉樹の集成材。(汗)持つべきは頼りになる友人だね。
早速翌日ブツが届きます。
左に一個見えるのが送られてきた物なのですが、厚みが20ミリあります。コレでそのままいけるだろうとタカを括っていたんだが、ここで大きな落とし穴が。アームベースの厚みがここまであるとアームの上下動の許容範囲を超えてしまい針がターンテーブルに届きません。(泣)改めて計測するとやはりベースの厚みは10ミリ以下でなければ厳しい模様。仕方がないので工作用の薄刃のこぎりでせっせと半分にしたのが右側の二枚。
手作業だったけど思いの外上手に切れた。(が、左右で2ミリほどの厚みの差が出た。ファーストトライだからね。これぐらいは大目に見ましょ。)
で、ターンテーブルに干渉する部分を切断し仮組み。
次にアームの位置決め。レコード盤にはセンターから直角(アバウト)にガイドライン用のテープを貼りアームを置いてレコード盤の中間地点くらいに針が来た時にアームとラインが垂直になるように位置決め。(直角定規を使って何となくの目視。(汗)間違いなくオーディオマニアのお叱りうけるな。)
コレで位置決めをしたら今度は裏の配線処理とケーブルの半田付け。ここをしっかりやっておかないと音が出なくなっては意味がありません。タイラップを上手く使ってケーブルを固定します。
これでバラシと逆の手順で二つのケースを元に戻していけば完成!!
Technics SL-1200MK3 + VESTAXストレートアーム 改
アームホルダーがついてないモデルだったので、先々何かしらの対策を考えなければ。(後日プレートを買ってきて対策済み)早速自宅にて使ってみているのですが、感想はと言えば
最高!!
の一言。4月9日のKAIKOOフェスでも使用してみましたが中規模クラスのPAではハウリングのトラブルはありませんでした。(PAスピーカーのチューニングや舞台やDJ台の施工にもよるので一概には言えませんが。)念願のSL-1200にVESTAXのストレートアームは想像していた以上に素晴らしいです。取り敢えず第1号試作機ですから使ってみて駄目出しをしてブラッシュアップできればなぁと思ってます。
で、二台目の作業は手順も全て判っているのであっという間に完成。
まぁ大した改造ではないですが、自分が欲しと思う物を作ってみると嬉しさ倍増するんだよね。失敗しながら色々な事を自分自身で感じ取るのって大事な事だと思うよ。
ではまた。
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